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求人掲載の法令違反を防ぐために知っておきたい職業安定法の知識

採用時の法令違反や条件トラブルに不安を感じている企業向けに、職業安定法の基本から最新の法改正、求人票作成時の注意点までを分かりやすく解説します。求人情報の表示義務や労働条件の明示、違反時のリスクを理解し、安心して求人を出すための実務ポイントをまとめています。

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職業安定法とは何か

職業安定法では、求人募集や職業紹介が適切に行われるよう、企業や事業者が守るべきルールを定めています。採用活動を行う企業にとって職業安定法は、「知らなくても何とかなる法律」ではなく、求人票や広告を作成する段階から意識すべき基本ルールを定めた存在です。まずは、この法律がどのような目的で作られ、求人募集とどのように関係しているのかを整理していきましょう。

職業安定法の目的と企業に求められる責任

職業安定法の目的は、各人がその有する能力に適合する職業に就く機会を与え、産業に必要な労働力を確保することで、職業の安定を図ることです。
この考え方を前提として、求人を出す企業には、仕事内容や労働条件などの情報を事実に基づいて分かりやすく伝える責任が求められます。意図的であるかどうかを問わず、実態と異なる内容や誤解を招く表現が含まれていれば、結果として求職者の判断を誤らせることになり、職業安定法上の問題となる可能性があります。

求人募集で特に関係が深いポイント

職業安定法の中でも、企業の採用活動と特に関係が深いのが「求人情報の表示」「個人情報の取り扱い」といった点です。これらは、求人票や求人広告を作成する段階から関係してくるため、採用担当者が実務で最初に意識すべきポイントと言えます。
つまり、職業安定法は「採用が決まった後」の話ではなく、「求人を出す前から」守るべきルールを定めている法律なのです。

求人募集で企業が守るべき職業安定法のルール

職業安定法は、条文を読むと難しく感じられがちですが、求人募集に関わる企業が実務で意識すべきポイントは限られています。重要なのは、求人情報をどのように掲載し、どのような内容を求職者に伝えるかという点です。
この章では、企業が自ら労働者を募集する際に守るべき職業安定法の基本的なルールについて、求人票や求人広告の作成場面を想定しながら整理していきます。ルールを押さえておくことで、「知らないうちに違反していた」という事態を防ぐことができます。

求人情報の的確な表示義務

求人募集を行う際には、求職者が応募の可否を判断するために必要な情報を、あらかじめ明示することが求められます。職業安定法第5条の3で下記のように定められています。

公共職業安定所、特定地方公共団体及び職業紹介事業者、労働者の募集を行う者及び募集受託者並びに労働者供給事業者は、それぞれ、職業紹介、労働者の募集又は労働者供給に当たり、求職者、募集に応じて労働者になろうとする者又は供給される労働者に対し、その者が従事すべき業務の内容及び賃金、労働時間その他の労働条件を明示しなければならない。


たとえば、賃金について条件によって金額が変わる場合、金額だけを示して前提条件に触れないと、求職者が労働条件を正しく判断しにくくなるおそれがあります。

虚偽・誤解を招く求人表示の禁止

企業が自ら労働者を募集する場合、募集内容は事実に基づいたものであり、求職者に誤解を与えない表現であることが求められます。この点について、職業安定法第5条の4では、求人や募集に関する情報について下記のように定めています。

公共職業安定所、特定地方公共団体及び職業紹介事業者、労働者の募集を行う者及び募集受託者、募集情報等提供事業を行う者並びに労働者供給事業者は、この法律に基づく業務に関して新聞、雑誌その他の刊行物に掲載する広告、文書の掲出又は頒布その他厚生労働省令で定める方法により求人若しくは労働者の募集に関する情報又は求職者若しくは労働者になろうとする者に関する情報その他厚生労働省令で定める情報を提供するときは、当該情報について虚偽の表示又は誤解を生じさせる表示をしてはならない。


つまり、待遇や仕事内容を実態よりも良く見せるような表現は、意図的でなかったとしても、結果的に事実と異なる表示と判断される可能性があります。

個人情報の取り扱いに関するルール

求人募集や採用選考の過程では、応募者から履歴書や職務経歴書といった個人情報を取得することになります。この点について、職業安定法第5条の5では、個人情報の取扱いについて、次のように定めています。

公共職業安定所、特定地方公共団体、職業紹介事業者及び求人者、労働者の募集を行う者及び募集受託者、特定募集情報等提供事業者並びに労働者供給事業者及び労働者供給を受けようとする者は、それぞれ、その業務に関し、求職者、労働者になろうとする者又は供給される労働者の個人情報を収集し、保管し、又は使用するに当たつては、その業務の目的の達成に必要な範囲内で、厚生労働省令で定めるところにより、当該目的を明らかにして求職者等の個人情報を収集し、並びに当該収集の目的の範囲内でこれを保管し、及び使用しなければならない。

この条文が示しているのは、応募者の個人情報は「採用選考」という業務目的の範囲内でのみ取り扱う必要があるという点です。企業としては、応募者の個人情報をどの範囲で利用するのかを明確にしたうえで、適切な管理体制を整えておくことが重要です。

【最新】職業安定法の主な改正ポイントまとめ

職業安定法は、社会情勢や採用環境の変化に合わせて、これまで段階的に改正が行われてきました。特に近年は、求人情報の表示方法や労働条件の伝え方、求職者への影響が大きい行為について見直しが進んでおり、企業の採用活動にも直接関わる内容が多く含まれています。
この章では、求人募集を行う企業が押さえておくべき職業安定法の主な改正ポイントを、年代ごとに整理して解説します。いつ、どのような点が変わったのかを把握しておくことで、現在の求人募集が最新のルールに沿ったものかを確認しやすくなります。

2025年4月改正|就職お祝い金に関する規制

2025年4月の改正では、就職お祝い金を巡る取り扱いが見直されました。求職者の判断を不当に誘導するような金銭の提供が問題視され、採用活動の公平性がより重視される流れとなっています。
企業側としては、求人募集に関連して金銭や特典を提供する場合、その内容や目的が適切かどうかを慎重に確認する必要があります。

2024年4月改正|求人募集時に求められる労働条件の明確化

2024年4月の改正では、求人募集の段階で明示すべき労働条件が拡充されました。特に、業務内容や就業場所の変更範囲など、入社後の働き方に影響する情報を事前に伝えることが重要視されています。
これにより、「聞いていた条件と違う」という入社後トラブルを未然に防ぐことが期待されています。

2022年10月改正|求人情報表示義務と届出制

2022年10月の職業安定法改正では、求人情報を取り扱う求人メディアや求人サイトが「募集情報等提供事業」として法律上明確に位置づけられ、届出制が導入されました。これにより、求人情報の表示について、虚偽や誤解を招く内容が含まれないよう管理する責任が強化されています。
自社が提供した求人内容が、実際にどのように表示されているかを確認し、必要に応じて修正を求めるなど、求人情報の正確性に対して企業自身も関与する姿勢が求められています。

参考:令和4年職業安定法の改正の概要について~求人メディア等のマッチング機能の質の向上~、厚生労働省、https://www.mhlw.go.jp/content/11600000/000992910.pdf

職業安定法でトラブルになりやすいポイント


この章では、職業安定法の中でも採用トラブルにつながりやすいポイントをあらためて整理し、企業側が注意すべき点を確認していきます。

労働条件の明示義務

労働条件の明示は、求人募集の段階と雇用契約時の内容にズレが生じやすく、トラブルにつながりやすいポイントのひとつです。職業安定法と労働基準法の双方が関係するため、求人票で伝えた内容が、そのまま実際の雇用条件と一致しているかを社内で整理しておく必要があります。
「求人にはこう書いていたが、実際は違った」という状況は、意図せずとも問題視される可能性があるため、募集段階から条件のすり合わせを意識することが重要です。

手数料・金銭提供に関する禁止事項

採用活動の中で、求職者や第三者に対して金銭や利益を提供する行為は、良かれと思って行ったものであっても、結果的に職業安定法違反と判断されるおそれがあります。特に、応募を促す目的での金銭提供や、紹介に対する対価の支払いなどは注意が必要です。
採用を円滑に進めるつもりの施策が、法律上は問題となるケースもあるため、金銭が絡む対応については事前に慎重な確認が求められます。

応募者情報の適切な管理と利用ルール

応募者の履歴書や職務経歴書に含まれる個人情報は、採用選考という目的の範囲内でのみ取り扱う必要があります。この点を曖昧にしたまま管理していると、意図せず目的外利用や管理不十分と受け取られ、企業の信頼を損なう原因になりかねません。
個人情報の取り扱いは法令違反の問題にとどまらず、企業姿勢そのものが問われる場面でもあるため、利用目的や管理方法をあらかじめ整理しておくことが重要です。

求人票の作成時に注意すべきポイント

求人票は、法律上の要件を満たしていれば十分というものではありません。実際の採用現場では、書き方や表現の違いによって、応募者の受け取り方が変わり、入社後の認識違いやトラブルにつながるケースも少なくありません。
この章では、職業安定法を踏まえたうえで、求人票を作成・運用する際に特に注意しておきたいポイントを、実務の観点から整理していきます。

誇大・誤解を招く表現の防止

求人票では、自社の魅力を伝えたいあまり、表現が強くなりすぎてしまうことがあります。しかし、実態と乖離した表現は、応募者の期待を過度に高め、入社後のミスマッチやトラブルにつながる原因になります。

たとえば、成果や評価に条件がある場合でも、その前提を省略したまま表現してしまうと、「誰でも同じ待遇が得られる」と受け取られる可能性があります。事実に基づいた表現を心がけ、読み手が現実的に業務内容や働き方をイメージできるかを意識することが重要です。

誇大表現や誤解を招きやすい言い回しは、実務上とくに判断に迷いやすいポイントです。具体的にどのような表現が問題になりやすいかについては、「【要注意!】求人広告のNGワードと禁止表現」で詳しく解説しています。

給与・条件の書き方

給与や待遇は、応募者が特に注目する項目であり、書き方次第で誤解が生じやすいポイントです。条件付きの金額やモデルケースを記載する場合は、それがどのような条件を満たした場合の例なのかを明確に示す必要があります。 また、手当や残業代の扱い、給与に含まれる要素についても、できるだけ具体的に伝えることで、入社後の「聞いていた内容と違う」という認識のズレを防ぐことができます。

求人情報の更新・修正対応

募集条件や業務内容に変更が生じた場合は、速やかに求人情報を見直し、修正する必要があります。情報が古いまま掲載されていると、応募者に誤解を与えるだけでなく、企業への不信感につながるおそれもあります。
特に複数の求人媒体や自社サイト、SNSなどを併用している場合は、掲載内容にズレが生じやすくなります。どの媒体でも同じ内容が表示されているかを定期的に確認し、常に最新の情報を保つことがトラブル防止の基本と言えるでしょう。

職業安定法違反の罰則と企業リスク

職業安定法に違反した場合、内容や悪質性の程度によっては、罰金や懲役といった刑事罰の対象となることがあります。以下は、職業安定法において規定されている主な罰則について、根拠条文ごとに整理したものです。

根拠
条文
主な違反内容 罰則内容
第63条 暴行・脅迫・監禁など不当な手段による職業紹介
公衆衛生・公衆道徳上有害な業務への紹介
1年以上10年以下の懲役
または 20万円以上300万円以下の罰金
第64条 無許可での有料・無料職業紹介事業
虚偽・不正による許可取得
事業停止命令に違反して職業紹介を行った場合
1年以下の懲役
または 100万円以下の罰金
第65条 手数料・報酬の上限超過
虚偽の広告や虚偽の条件提示
法令違反となる労働条件の事業所への紹介
6か月以下の懲役
または 30万円以下の罰金
第66条 帳簿書類の未作成・虚偽記載
報告拒否・虚偽報告・検査忌避
秘密漏えい
30万円以下の罰金

また、実務上は刑事罰そのものよりも、行政指導や改善命令を受けることによる影響のほうが大きいケースも少なくありません。求人内容の修正対応や社内体制の見直し、場合によっては採用活動の一時停止など、事業運営に直接的な負担が生じることもあります。

法令違反を未然に防ぐことは、罰則を避けるためだけでなく、企業の信用や採用ブランドを守り、安定した採用活動を続けるためにも重要なポイントと言えるでしょう。

参考:第 14 違法行為による罰則、行政処分、厚生労働省、https://www.mhlw.go.jp/general/seido/anteikyoku/jukyu/syoukai/dl/14.pdf

まとめ

職業安定法は、求人募集におけるトラブルを防ぎ、企業と求職者の信頼関係を守るための法律です。ルールを正しく理解し、求人情報と実際の労働条件にズレを生まないことが、安心して採用活動を進めるための第一歩となります。
本記事を通じて、職業安定法のポイントを整理し、「これなら自社の求人も問題ない」と感じていただけたなら幸いです。

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