求人広告には、法的に規制された表現や禁止ワードがあります。知らずに掲載すると法令違反となることも。この記事では、遵守すべき法律や禁止ワードについて解説します。
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求人広告を作成する際に遵守すべき法律
求人広告には、遵守すべき法律がいくつもあります。知らずに情報を公開してしまうと、法令違反になることも考えられます。
まずは求人広告を作成する際に、守るべき法律や内容について理解していきましょう。
労働基準法
労働基準法は、労働条件の最低基準を定めている法律です。
パートやアルバイトを含むすべての労働者を雇用している事業所に、労働基準法は適用されます。
労働基準法では、労働時間や賃金の支払い、休日・時間外・深夜労働時の割増賃金など、基本的な労働条件が定められています。
厳密には、募集段階では労働者ではありませんが、これらの労働条件を明記する求人広告でも、遵守する必要があると言われています。
男女雇用機会均等法
男女雇用機会均等法は、性別による差別を禁止している法律です。募集・採用や配置・昇進、福利厚生など、あらゆる場面で性別を理由にした差別を禁止することが定められています。
雇用対策法
雇用対策法は、労働者の再就職促進を目的にした法律です。2018年に働き方改革推進のため改正され、「労働施策の総合的な推進並びに労働者の雇用の安定及び職業生活の充実等に関する法律」という名称に変更されました。募集や採用時の年齢制限が原則として禁止されています。
職業安定法
職業の募集・紹介、公共職業安定所の運営など、職業紹介、労働者の募集、労働者供給について規定されています。
求人広告において、「業務内容」「賃金」「労働時間」などを明示することなどを定めています。
最低賃金法
最低賃金法は、使用者が労働者に支払う最低限度の賃金を定めた法律です。労働者の生活の安定や労働条件の改善を図る目的で制定されています。
最低賃金は都道府県別に定められ、特定の産業を除くすべての産業や職種に適用されます。また、使用者・労働者の双方が合意していても、最低賃金を下回る場合は法律により無効となります。
求人広告のNGワードや禁止表現
では、求人広告で法律に違反するようなNGワードや禁止表現にはどのようなものがあるのでしょうか。
以下で、具体例とともに見ていきましょう。
性差別につながる表記
男女雇用機会均等法により、労働者の募集・採用に関して、性別を理由として就業機会を限定することは禁止されています。
実際に、「保母・保父→保育士」、「看護婦→看護師」「スチュワーデス→キャビンアテンダント」など、性別を限定する名称が変更になったのは、ご存知の方も多いでしょう。
以下に具体的な禁止表現と言い換え方について、表にまとめていますので参考にしてください。
内容 | 禁止表現 | 言い換え方 |
性別を限定して採用対象または対象外とするような表現男性名称・女性名称の使用 | ・主婦歓迎! ・営業マン ・ウエイトレス ・女性事務スタッフ | ・主婦(夫)歓迎 ・営業スタッフ、営業職 ・ホールスタッフ ・事務スタッフ |
男女別の募集人数の記載 | ・男性5名・女性1名募集 | ・6名募集 |
性別で異なる条件記載 | ・スタッフ募集女性は未婚者優先 | ・スタッフ募集 |
求人に関する情報提供について、性別により異なる取り扱いをすること | ・会社説明会 男性:14時~女性:16時~ | ・会社説明会:14時~ |
採用試験について、性別により異なる取り扱いをすること | 筆記試験・面接男性は別途適性検査あり | 筆記試験・面接適性検査あり |
募集や採用にあたり、性別を限定して対象とすること | ・看護婦 ・女性秘書 ・幹部候補(男性優遇) | ・看護師 ・秘書 ・幹部候補 |
ただし、業務の遂行上いずれかの性でなければならない職務の場合は、性別制限が認められる「適用外職種」に該当します。
●芸術・芸能の分野において男女のいずれかのみに従事させることが必要である職種
●警備員など、防犯上の理由などで業務遂行上、男性に従事させることが必要な職種
●宗教上、風紀上、スポーツにおける競技の性質上、その他の業務の性質上、男女のいずれかに従事させる必要がある場合(巫女、女子更衣室の警備など)
また、現在の男女格差の是正を目的に、特定の性別のみを募集するケースも「ポジティブ・アクション」と呼ばれ、違法にはなりません。
年齢差別につながる表記
雇用対策法により、募集や採用の際に年齢を表現することは原則禁止されています。
禁止表現の具体例は以下の通りです。
内容 | 禁止表現 | 言い換え方 |
年齢を理由として、募集・採用の対象から特定の年齢層を排除すること | ・募集年齢:35歳まで・20代歓迎 | ・年齢の表記はすべてNG ・20代が活躍中 (現在の状態を表すためOK) |
特定の年齢層に対し、他の年齢の者と異なる条件付加や採用試験をするもの | ・40歳以上は適性検査あり | ・適性検査あり |
ただし、長期勤続によりキャリア形成を図る場合や、若年者を対象として期間を定めず募集・採用する場合など、年齢制限に合理的な理由があると認められる場合は例外とされています。ただし、以下の要件を守る必要があります。
●職業の経験は不問とする必要がある
●新卒以外の雇用でも新卒者と同等条件での受け入れが必要
●年齢の下限制限は不可
特定の人物を差別・優遇する表記
人種や居住地、身体的特徴など、特定の人物を差別・優遇する表記もしてはいけません。
求職者の中には、さまざまな事情を抱えた人がおり、それらの人を傷つけたり不快にしたりする表現はNGです。
具体例は以下の通りです。
内容 | 禁止表現 | 言い換え方 |
特定の人種・国籍を限定して採用対象または対象外とすること | ・外人 ・後進国 | ・外国人 ・発展途上国 |
特定の地域に居住していることを採用対象または対象外とすること | ・通勤1時間以内の方歓迎 | ・地元企業で活躍したい方 ・Uターン者歓迎 |
心身の障害、病気、身体的特徴を想起する表現 | ・色盲、色覚異常・ブラインドタッチ | ・色覚障害 ・タッチタイピング |
性格や身体条件を限定して採用対象または対象外とすること | ・身長170cm以上優遇 ・真面目な人 | ・身体的特徴表現は不可 ・真面目に業務に取り組める人 |
これらの表現は意図的であるかどうかに関わらず、特定の人を傷つける可能性があるため、表現については十分に配慮する必要があります。
実態とは異なる条件の表記
実態とは異なる条件の表記もNGです。
実際の給与や待遇とは異なる条件の掲載で、労働者を偽るような募集・採用は禁止されています。
とはいっても、採用時点で経営状況が変化し、労働条件が変更となる場合もあります。この際には、採用前に必ず説明する必要があります。
また、実際の給与や待遇条件であっても、最低賃金法や労働基準法などの各種法律に違反していないかを確認しておく必要はあるでしょう。
NGワードや禁止表現を使用したらどうなる?
これまでに説明したNGワードや禁止表現を使用した場合や、各種法律に違反した求人広告を掲載した場合、6ヶ月以下の懲役または30万円以下の罰金が科せられます。< また、法律違反であった場合には、行政からの是正勧告などを受ける可能性もあります。是正されなかった場合には企業名の公表など、社会的制裁が待っています。 法律違反でないとしても、問題がないわけではありません。 求人広告は多くの人が目にするものです。モラルとして問題はないか、表現が適切かなどをチェックする必要があるでしょう。
法律を遵守した魅力的な求人広告でマッチング率アップを
求人広告を作成する際には、各種法律の遵守や、性別や年齢などの禁止表現を使用しないなど、最低限守るべきルールが多くあります。
求人広告に関わる法律をしっかり理解し、法令違反がないか、禁止表現がないかをしっかり確認するようにしましょう。
これらの法令を守って業務内容や待遇を正しく掲載することで、トラブルやミスマッチの防止につながり、採用効率を高めることもできるでしょう。
求職者が不快に感じないわかりやすい求人広告を作成し、採用活動をスムーズに進めましょう。
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