コロナ禍により、採用市場が従来から大きく変化しています。今後の経済状況や将来を見据え、企業は採用方針を決めないといけないでしょう。そこで、コロナ禍における企業の採用方針について、現状や課題を踏まえて解説していきます。
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コロナ禍による雇用への不安
2020年に全世界を襲った新型コロナウイルス感染症は、経済に大打撃を与えました。企業は経営難に、労働者は収入減に、そして学生や転職希望者は就職や転職に苦慮しています。
連合の発表によると、コロナ禍による勤め先企業の業績悪化によって、自らの雇用に不安を感じていると回答した労働者が58.1%にも及びました。またエンワールド・ジャパンの調査によると、転職活動をしていると回答した人の43.0%が、本人の希望ではなく勤め先企業の都合だと回答しています。
このように、転職希望者はやむなく転職活動しているのが実情です。
2021年の採用市場はどう変化したか
こうしたコロナ禍の雇用不安の状況下で、採用市場はどのように変化したのでしょうか。
増加傾向にある採用
2020年は緊急事態宣言による時短営業の要請やそれに伴う経営状況の悪化により、企業は事業の縮小を余儀なくされました。しかし、アルバイトや派遣社員の雇止めがあった反面、正社員の採用は落ち込みませんでした。
マイナビ人材ニーズ調査によると、雇用形態別の採用状況は2021年の採用予定数が2020年よりも増加していることが判明しています。新型コロナウイルス感染症の影響による経済状況が不透明であるにもかかわらず、企業は正社員、非正社員にかかわりなく採用意欲が高いのが実情です。
内定率は前年同様増加傾向
新卒採用に関して、2020年2月ごろまで、学生の就職活動は例年通り早期化する傾向にありました。株式会社ディスコの「キャリタス就活2021 学生モニター調査結果」によると、内定を得たと回答した学生は前年の8.1%を1.9ポイント上回る10.0%でした。
また、本選考を受けたと回答した学生は、前年の31.2%を7.9ポイント上回り、47.8%と内定率の高さがうかがえます。
企業側は採用活動に積極的
非正社員と正社員とで企業の採用活動に違いが出ていることには理由があります。企業は慢性的な人手不足に陥っており、非正社員の採用も継続しています。
しかし、新型コロナウイルス感染症の感染拡大により通常業務が行えないため、一時的にでも人手不足が解消されました。その結果、2020年のほうが前年よりも非正社員の採用が鈍化しているのです。
また新卒採用の採用が続く理由として、事前の計画による定期的な採用を挙げる企業がもっとも多いというアンケート結果が出ました。
中途採用は依然継続して採用
中途採用も新卒採用同様、継続されていますが、背景にある理由は異なります。
中途採用に対する意欲も、2020年と同レベルを維持していたことが判明し、外資系企業は約60%、日系企業は約85%が中途社員の採用活動を実施していると回答。中途採用の理由としては、専門能力や技術をもつ人材の獲得が47.4%と一番高いことが判明しました。
年間の採用計画にもとづく採用と回答した企業も多い反面、コロナ禍による人員不足を理由にしている企業も見受けられました。
厳選採用に向けた企業の動き
コロナ禍という状況下で、企業はどのような採用戦略を練る必要があるのでしょうか。
採用戦略は、企業が安定して成長を続けるために、必要な人材を獲得するための戦略のことであり、経営計画のなかで重要な課題として位置づけられています。
採用戦略を立てるうえで重要なのは、自社が置かれている状況を冷静に分析することです。売上や事業目標など企業の理想とする姿と比較し、課題解決に必要な能力やスキル、専門性、必要な人数を検討しないといけません。
コロナ禍による経済状況や事業の先行きが不透明であることから、企業は余裕をもって人材採用を行えません。そのため、企業は事業の課題解決に取り組めたり、事業戦略の立案に精通していたり、高スキルな人材を厳選して獲得する傾向にあります。このように応募者を見極めてマッチする人材だけを採用するのが、厳選採用です。
厳選採用の背景
コロナ禍により、企業が通常の採用から厳選採用へとシフトしている背景には、以下の2点が挙げられます。
1点目は、コロナ禍に伴う売上減少により、人材育成に時間や予算を取れなくなったためです。そのため、パフォーマンスの高い即戦力の人材を厳選採用することで、売上を伸ばすことを目指しています。
2点目は、中小企業やベンチャー企業にとって、採用した1人の人材が事業に及ぼす影響が大きいことです。社員数が多くないため、新しい人材が少ないと人間関係や業務に大きな影響を与えます。そのため、自社の雰囲気に合い、さらにスキルが高いと見込める場合は、厳選して人材を採用する必要があるのです。
厳選採用のメリット・デメリット
厳選採用には優秀な人材を採用できるなどメリットがある反面、デメリットもあります。そこで、厳選採用のメリットとデメリットを挙げていきましょう。
厳選採用のメリット
先述したように、即戦力の人材を採用できるのは厳選採用のメリットですが、それ以外にもメリットが2点ほどあります。
1点目はミスマッチを防げることです。自社の採用基準に満たさない場合には採用しませんので、自社の求める人材がいない場合には妥協して採用することもありません。
2点目は、自社にマッチした人材を採用することで、長期的にコストを抑制できることです。ミスマッチした人材を採用してしまうことで早期離職のリスクが増え、結果として採用・育成コストが無駄になる可能性があります。厳選採用にはこうした採用のリスクを防ぐ効果があるのです。
厳選採用のデメリット
厳選採用のデメリットとして、人材に偏りが生じてしまうことが挙げられるでしょう。スキルの高い人材だけを採用することで、企業にとって重要な役割を担う可能性のある異能な人材を採用しにくくなります。
また、厳選採用によって企業内で経験のある採用担当者が減ってしまうこともデメリットといえるでしょう。採用者数の減少に伴い採用担当者数が削減されるため、採用チームは解散したり別の現場に異動を命じられたりします。結果として、自社の採用ノウハウの蓄積がなくなる恐れがあるでしょう。
厳選採用の5つの方法
企業が厳選採用を行うにはどのような方法をとればいいのでしょうか。以下、5つの方法があげられます。
- 採用媒体でターゲットを絞る
- 採用ホームページなど自社サイトの充実
- 採用ピッチ資料を公開
- リファラル採用でミスマッチをなくす
- ダイレクトリクルーティングで優秀な人材を確保
それぞれ詳しく見ていきましょう。
1.採用媒体でターゲットを絞る
リクナビNEXTなど採用媒体で、ターゲットを絞り込んで求人原稿を掲載する必要があります。そして自社にとって足りない人材を調べ、必要なスキルを明確化したうえで、ターゲットにマッチするような求人情報の原稿を仕上げます。
たとえば営業担当の人材を採用する場合で考えてみましょう。営業には個人営業もあれば法人営業もあり、扱う商材もさまざまです。
そこで、「自社の電子部品を取引先に提案する仕事です。新規顧客はなく、担当顧客は10社ほどです。設計部署と打ち合わせをし、顧客の新製品開発にマッチする部品を提案します。ただし、見積りや資料作成を担当するサポートスタッフがつくので、安心して営業に専念できます」など、具体的な仕事内容を記載することで、法人営業経験者にも興味をもってもらえるでしょう。
2.採用ホームページなど自社サイトの充実
2点目は、採用ホームページなど自社サイトを充実させることです。自社の魅力や雰囲気を伝えるために、社員のインタビューや福利厚生、仕事内容などを求職者に向けて紹介します。
自社サイトを充実させることで、求職者は応募前に企業の実態を把握でき、共感できる企業に募集するでしょう。結果として、面接時に「自分の思っていた企業と違っていた」等のミスマッチを防ぐこともできます。
3.採用ピッチ資料を公開
3点目は、採用ピッチ資料をWebサイトに公開することです。採用ピッチ資料とは自社紹介の資料のことで、企業は自社の魅力だけでなく抱えている課題なども記載します。
求職者が本当に知りたがっている情報を公開することで、求職者はその企業について十分な理解を得た状態で面接に臨めるでしょう。
面接では求職者と企業との相互理解を深めることに時間を割くことができるため、結果としてミスマッチが少なくなるでしょう。
採用ピッチ資料は一度作成すれば長い期間にわたって使用可能です。細かい部分については社内や求職者からフィードバックを集め、ブラッシュアップしていきましょう。
4.リファラル採用でミスマッチをなくす
4点目はリファラル採用を導入し、ミスマッチをなくすことです。リファラル採用とは、自社の従業員から人材の紹介を受けたり、推薦してもらったりする採用活動を指します。
既存のチャネルに頼ることなく従業員のつながりを利用して、質の高い人材を確保するのがリファラル採用の目的です。
従業員は自社の雰囲気やどのような仕事をする職種なのかもわかっているため、マッチングの精度向上が実現されます。結果として、採用につながりやすくなるでしょう。
5.ダイレクトリクルーティングで優秀な人材を確保
5点目はダイレクトリクルーティングを使い、優秀な人材を確保することです。ダイレクトリクルーティングとは、企業が直接求職者にアプローチする採用活動を指します。
従来の採用活動では、求人サイトへの広告掲載や人材紹介会社に依頼したあとは、応募や紹介が来るまで企業は待つしかありませんでした。ダイレクトリクルーティングでは、企業が自社とマッチする求職者を探してアプローチするなど、攻めの採用が行えます。
広告を掲載しないことから採用コストを抑えることができるだけでなく、「いい会社があれば転職を考えたい」という転職潜在層へのアプローチも可能です。また、直接求職者にアプローチするため、採用媒体や人材紹介会社経由では出会えない人材を探すこともできるでしょう。
コロナ禍を乗り越え成長に向けた採用戦略を立てよう
コロナ禍により事業縮小を余儀なくされる企業も多く、多くの採用コストがかけられないのが実情です。その一方で、今後の経済状況や経営状況を見据えて、今まで通り採用を継続して行う企業も少なくありません。
採用コストをあまりかけずに優秀な人材を集めるためには、厳選採用によって優秀な人材を確保することが重要です。今回紹介した方法によって、売上向上に貢献するだけでなく、将来に向けて企業が成長できるような人材に出会うことが可能になるでしょう。