採用面接でよくあるのが、好ましくない質問をし、応募者に悪い印象を与えてしまうケースです。失敗を避けるためにもNGの質問や注意すべきトラブルをご紹介します。
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面接でNG質問がある理由
面接は企業が聞きたいことを自由に聞けば良いのでは、と考えてしまいますが、NGの質問があります。これは、おもに基本的人権の尊重と就職差別防止の考えによるものです。
聞くべきではない質問をした結果、応募者を不快にさせるだけでなく、下手をすれば企業の印象を悪くする可能性もあります。
どのような質問がNGなのかを事前に理解しておくことは、非常に重要だといえるでしょう。面接に携わるすべての人が理解しておきたいポイントでもあります。
採用活動で大切な考え方
採用面接では、採用担当者の独断と偏見ではなく、自社が求めている条件や採用基準に合う人を公正かつ適正に見極めなければなりません。ただ、これは非常に難しいことで、無意識のうちに思い込みでその人を判断してしまうこともあるでしょう。
日本では、法律で採用について自由に決められると定められています。しかし、基本的な人権を尊重するほか、応募者の適性と能力のみを判断基準にしなければなりません。
特に注意しなければならないポイントとして、就職差別と思われてしまうような質問は避けるべきです。相手の緊張を和ませるための目的で言ったちょっとした雑談がNG質問であったようなケースもあります。
面接に携わる方は、何がNGで何が良いのかをしっかりと理解し、面接に取り組むことが重要だといえるでしょう。同時に面接官が無意識のうちに、決め付けや偏見で応募者を判断しないよう注意しなければなりません。
面接前に要チェック!NG質問8選
まずは、どのような質問がNGなのかをご紹介します。中には「一般的に良くある質問では?」と感じてしまうものもあるため、注意しなければなりません。
代表的なNG質問を8つ見ていきましょう。NGと判断される質問例もご紹介するので、面接官はしっかり頭に入れておいたほうが良いです。
1.家族の職業や役職
面接を受ける際に重視されるべきなのは、本人の適性や能力です。そのため、家族の職業や役職などを聞き、それが面接結果に反映されるようなことがあってはなりません。
家族の職業や役職、収入などに関する質問はNGです。実際に家族に関する質問をしている企業もあるようですが、雑談であっても家族の話は避けましょう。
【NG例】
- 「ご両親はどちらの企業で働いていますか」
- 「ご両親の年収を教えてください」
- 「家業は何ですか」
2.家族構成や資産状況
家族の職業や役職だけでなく、家族構成に関する質問も避けたほうが良いです。こちらも本人の採用とは関係がありません。
また、本人に関することであったとしても資産に関する質問はNGです。資産があってもなくても本人の適性や能力とは無関係だといえます。
【NG例】
- 「家族構成を教えてください」
- 「実家は持ち家ですか」
- 「自家用車を持っていますか」
3.本籍地
本籍や生まれに関する質問は就職差別につながるおそれのある質問とされているため、NGです。本人だけでなく、両親の実家がある地域などに関する質問もNGであるため注意してください。
同時に、面接で本籍や出身地を聞かないとしても、本籍が記載された住民票(写し)を提出させることもしてはなりません。
【NG例】
- 「ご両親の出身地はどこですか」
- 「ご実家はどこですか」
4.宗教や支持政党
宗教など、思想に関することはプライベートな問題であるため、採用面接の質問としては適していません。支持している政党や人生観などについても同様です。
【NG例】
- 「支持しているのは何党ですか」
- 「信仰しているのは何教ですか」
5.自宅付近の環境
自宅付近に関する情報は、プライベート性が高いです。身元調査につながる可能性がある質問と判断されます。
【NG例】
- 「自宅までの略図を書いてください」
- 「自宅周辺の環境はどうですか」
6.結婚・出産など男女雇用機会均等法に抵触するもの
結婚や出産に関する質問など、男女雇用機会均等法に抵触する恐れのあるものは全面的にNGです。具体的にどういった内容が男女雇用機会均等法に抵触するのか、採用担当者で確認しておきましょう。
【NG例】
- 「近々結婚や出産をする予定はありますか」
- 「結婚、出産しても働き続けたいと考えていますか」
7.健康状態や健康診断書の提出
健康な人を採用したいと考えていたとしても、選考時に健康状態を聞いたり、健康診断書の提出を求めたりするのはNGです。本人の健康状態が好ましくないような場合、それを考慮して合否に反映すると就職差別につながる恐れがあります。
【NG例】
- 「健康診断書を提出してください」
- 「現在の健康状態は良好ですか」
8.プライベートの交際状況や性的情報
本人の能力や適性とは全く関係がないプライベート関連の質問はすべてNGです。恋人の有無やLGBTなどの性的マイノリティーなどについても質問してはいけません。
注意しなければならないのが、スリーサイズに関する質問です。制服のサイズを把握するためといった目的があったとしてもNG質問に該当します。
制服のサイズについて把握する必要がある場合は、採用前の面接ではなく、採用後に制服を発注するタイミングで確認しましょう。
【NG例】
- 「現在付き合っている人はいますか」
- 「恋愛に対してどのような価値観を持っていますか」
- 「スリーサイズを教えてください」
面接でNG質問をすることで起こりうるトラブルと対策
面接でNG質問をしてしまった場合、相手を不快にさせる可能性があるだけでなく、リスクやトラブルにつながる恐れもあります。どのような可能性が考えられるのかについて対策も含めてご紹介しましょう。
法律違反による通達や罰則
NG質問は「マナーとして質問をするのは避けるべき」というものではなく、法律違反になる可能性があります。内容によっては法律違反による通達や罰則の対象となるおそれまであるのです。
まず、本人に責任のない事項に関する質問です。本籍や出身地、家族、住宅状況、生活環境に関することなどが該当します。次に本来自由であるべき事項の質問も避けなければなりません。宗教や人生観、支持政党、労働組合に関する情報などです。
どこからどこまでがNGなのかを把握しておくことで思わぬトラブルを防ぎやすくなります。法律についてよく理解し、適切な判断基準を設けましょう。
雑談を広げた結果うっかりNG質問をしてしまうケースもあるので、質問の内容は明確に決めておいたほうが良いです。
インターネット上での拡散・炎上
「○○社の採用面接でこんな質問をされた」と情報が拡散され、企業イメージが悪化したり炎上したりする可能性もあります。
今はSNSで手軽に情報を発信できる時代です。1度投稿されたマイナスのイメージを払拭するのはなかなか難しいため、十分注意しなければなりません。
重要なのは面接官のコンプライアンス意識を高めておくことです。注意すべきポイントはしっかりと共有し、トラブル防止のため高い意識を持ちましょう。
何を質問するか、していけないのかは事前に把握
面接でNG質問をすると大きなトラブルに繋がるおそれがあるため、十分注意しておかなければなりません。
企業の中にはあらかじめ質問の内容を明確にせず、応募者の返答に合わせて質問内容を考えているケースもあるでしょう。
しかし、ご紹介したように、NG質問は非常に数が多いです。万が一のトラブルを避けるため、質問しても良いこと、良くないことについてはしっかり把握したうえで面接に取り組みましょう。
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