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トライアル雇用とは?導入するメリット・デメリットを解説

トライアル雇用は、原則3カ月間の試行雇用を実施して企業と労働者が相性を確かめられる制度です。採用ミスマッチを減らし採用コストを抑えられる可能性があります。ただし、デメリットがないわけではありません。この記事では、トライアル雇用について解説しています。

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トライアル雇用とは

トライアル雇用は、ハローワーク所長が適当と認める者に対し、企業が原則3カ月間のトライアル雇用(=試行雇用)を実施することで、企業と労働者の双方が業務遂行に必要な適正・能力などを見極め、トライアル雇用終了後に本採用するかどうかを決定する制度です。

トライアル雇用を実施する企業は、一定の条件を満たすことで助成金を受けられます。

試用期間との違い

トライアル雇用と試用期間は、以下の点で異なります。

トライアル雇用試用期間
本採用との関係本採用を前提としない本採用を前提とする
期間原則3カ月12カ月以内(1~6カ月が一般的)
解雇トライアル雇用後に判断可能通常の解雇と同じ手続きが必要

トライアル雇用は有期雇用契約を締結するため、トライアル雇用期間終了後に企業あるいは労働者の判断で本採用するかどうかを決定できます。

トライアル雇用の種類

トライアル雇用には次の種類があります。

一般トライアルコース

一般トライアルコースは、職業紹介の日に安定した職業に就いているなどの条件を満たさず、以下の条件に該当する者を対象とします。

  • 2年以内に2回以上離職・転職を繰り返している
  • 離職期間が1年以上経過している
  • 妊娠・出産・育児が理由で離職し、1年を超えて安定した職業に就いていない
  • 55歳未満のニートまたはフリーターなど
  • 就職支援に特別な配慮を要する(母子家庭の母・父子家庭の父・生活困窮者・生活保護受給者・日雇労働者など)

ハローワークなどの紹介により雇入れを始め、所定の条件を満たすことで、最長3カ月を対象として対象者1人あたり月額4~5万円が支給されます。

【参考】厚生労働省「トライアル雇用助成金(一般トライアルコース)」

障害者トライアルコース

障害者トライアルコースは、次の条件をすべて満たす者を対象とします。

  • 障害者トライアル雇用制度を理解していて、継続雇用による雇入れと障害者トライアル雇用による雇入れを希望している
  • 「就労経験がなく就労を希望している」「2年以内に2回以上離職または転職している」「離職期間が6カ月を超えている」「重度身体障害者・重度知的障害者・精神障害者」のいずれかに該当する

以上の条件に該当する者を、ハローワークなどの紹介で雇入れて所定の手続きを行うことで、最長3カ月を対象として対象者1人あたり月額最大4万円(精神障害者の場合は最大8万円(3カ月)、最大4万円(3カ月)の最長6カ月間)が支給されます。

【参考】厚生労働省「障害者トライアルコース・障害者短時間トライアルコース」

障害者短時間トライアルコース

障害者短時間トライアルコースは、所定労働時間を10時間以上20時間未満/週を基本とし、障害者の体調や適応により20時間以上/週を目指すトライアル雇用です。

次の対象者をハローワークなどの紹介で雇い入れて、3~12カ月の短時間トライアル雇用を実施することで対象者1人あたり月額最大4万円が支給されます。

 障害者短時間トライアル雇用制度を理解していて、継続雇用による雇入れと障害者短時間トライアル雇用による雇入れを希望している精神障害者・発達障害者

【参考】厚生労働省「障害者トライアルコース・障害者短時間トライアルコース」

新型コロナウイルス感染症対応トライアルコース

以下の条件などを満たす者を、無期雇用を前提にトライアル雇用する企業に対し助成金を支給する制度です。

  • 週の所定労働時間が30時間以上の無期雇用を希望し、同制度を理解したうえで新型コロナウイルス感染症対応トライアル雇用を希望する
  • ハローワークなどに求職申込をしている
  • 新型コロナウイルス感染症の影響で離職し、離職期間が3カ月を超えていて経験がない職業への就職を希望する

所定の条件を満たし雇入れた場合、最長3カ月を対象に1人あたり月額4万円が支給されます。

【参考】厚生労働省「新型コロナウイルス感染症対応トライアルコース・新型コロナウイルス感染症対応短時間トライアルコース」

新型コロナウイルス感染症対応短時間トライアルコース

新型コロナウイルス感染症対応短時間トライアルコースは、以下の条件を満たす者を対象とします。

  • 週の労働時間が20時間以上30時間未満の無期雇用を希望し、同制度を理解したうえで新型コロナウイルス感染症短時間トライアル雇用を希望する
  • 他は新型コロナウイルス感染症対応トライアルコースと同じ

所定の条件を満たし雇入れた場合、最長3カ月を対象に1人あたり月額2万5,000円が支給されます。

【参考】厚生労働省「新型コロナウイルス感染症対応トライアルコース・新型コロナウイルス感染症対応短時間トライアルコース」

若年・女性建設労働者トライアルコース

一般トライアルコース・障害者トライアルコース・新型コロナウイルス感染症対応トライアルコース・新型コロナウイルス感染症対応短時間トライアルコースの支給決定を受けている中小建設事業者で、雇用保険の適用企業が対象です。

35歳未満の若年者または女性をトライアル雇用することで、労働者1人あたり月額最大4万円が最大3カ月間支給されます。

【参考】厚生労働省「建設事業主等に対する助成金のご案内」

トライアル雇用を活用するメリット

トライアル雇用を活用するメリットとして以下の点が挙げられます。

ミスマッチを防げる

最も大きなメリットは、採用ミスマッチを防ぎやすいことです。

トライアル雇用を利用することで、企業と労働者が互いの相性を把握できます。また、企業は労働者の実務能力、労働者は仕事内容なども理解できます。

応募書類や面接ではわからない部分まで知ってから本採用に進めるため、ミスマッチが起こりにくいのです。ミスマッチが起こると、採用活動のやり直しを余儀なくされるケースが少なくありません。積極的に活用したい制度といえるでしょう。

助成金を受け取れる

一定の条件を満たすことで、助成金を受け取れる点も魅力です。

具体的な金額はケースで異なりますが、基本的には最長3カ月間を対象に労働者1人あたり4万円を受け取れます。

助成金を人件費や求人広告費などに充てることも可能です。早期離職による採用活動のやり直しを防ぎやすい点も加味すると、トライアル雇用は採用コストを引き下げてくれる可能性がある採用手法といえます。

雇用の継続を断りやすい

トライアル雇用で相性が悪いと判断した場合、雇用の継続を断りやすい点も見逃せません。

原則3カ月の有期雇用契約を締結するため、トライアル雇用終了後に企業の判断で常用雇用契約を締結するかどうかを決められます。

試用期間の場合は、30日前に解雇予告を行わなければならないなど、企業の都合で簡単には解雇できません。「お試し期間」として採用できる点は魅力です。

トライアル雇用を活用するデメリット

トライアル雇用を利用する場合、以下のデメリットに注意が必要です。

社内で受け入れ準備をしなければならない

トライアル雇用の対象者は、離職期間が長い労働者や業界未経験者、障害者などです。したがって、教育体制を整えるなど、受け入れ準備が必要になります。

受け入れ体制を整えておかないと、採用した人材を有効活用できないことも考えられます。通常の採用活動とは異なる特徴をもった人材を採用するケースが多いため、事前に体制を整えてから活用したい採用手法といえるでしょう。

人材育成を一からしなければならない

トライアル雇用で採用するのは、基本的に離職期間が長い労働者や業界未経験の労働者です。即戦力の人材は、確保しにくい傾向があります。

一般的な中途採用よりも、教育にかかる時間とコストは大きくなるでしょう。採用の目的を明確にしたうえで、活用しなければなりません。

書類作成の作業が発生する

トライアル雇用を実施する場合、所定の手続きが発生します。

例えば、一般トライアルコースでは、トライアル雇用を始めた日から2週間以内に実施計画書をハローワークへ提出しなければなりません。また、助成金を受給するため、トライアル雇用を終えた日の翌日から2カ月以内にハローワークなどへ支給申請書を提出することも求められます。

これら以外にもさまざまな手続きが必要になるため、採用人数が多くなると人事担当者などの業務が増えるかもしれません。

ミスマッチを防ぎたい場合はトライアル雇用の活用を検討

トライアル雇用は、原則3ヶ月間のトライアル雇用を実施して、企業と労働者の相性を見極めてから本採用するかどうかを決められる制度です。トライアル雇用を活用することで、採用ミスマッチを防ぎやすくなります。

ただし、離職期間が長い労働者などが対象になるため、採用後に教育を必要とするケースが少なくありません。したがって、採用の目的を明らかにして教育体制を整えてから利用するべき制度といえるでしょう。

採用ミスマッチを防ぎたい方は、デメリットに注意しつつトライアル雇用の利用を検討してみてはいかがでしょうか。