人材育成計画は社員の能力を高めるためのプランです。業務の即戦力となり、会社が成長するために欠かせない人材を育てます。
本記事では、人材育成計画が大切な理由やメリット、実際に作成するための手順、キャリア別の育成方法について紹介します。
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人材育成計画とは?
人材育成とは、会社の業務に貢献できる人材を育てることです。会社が成長して事業の目標を達成するには各社員がスキルを高めて質の高い仕事を行い、生産性を高めることが求められます。人材育成計画は、このような人材育成を成功させるために欠かせません。ここでは、人材育成計画の重要性やメリット、厚生労働省が公表している参考資料について紹介します。
人材育成計画の重要性
今日、「デジタル化」や「グローバル化」など、会社を取り巻く社会環境は日々変化しています。めまぐるしく変わる社会に適応していくには、即戦力となる人材を計画的に育てなければなりません。
しかし、今日の少子高齢化社会では労働力の確保が難しく、思うような人材確保ができない状況です。このような環境でも会社が発展していくためには、限られた人材を即戦力として育成しなければなりません。
人材育成に成功するには、しっかりした計画を立てることが必要です。計画のない育成は目標が定まらず、思うような育成ができません。人材育成計画を作成して目標を明確にすることで、効率的な人材育成が図れるでしょう。
戦力となる社員を育てるだけでなく、社員のモチベーションを維持するためにも人材育成計画は大切な施策です。
人材育成計画を作るメリット
人材育成計画は目標を設定して計画的に進めるため、個々の社員が効率的にスキルアップを図れるというメリットがあります。将来のキャリアを具体的に描くことが可能になるでしょう。社員の能力が向上することで、業務内容が質・量ともに向上するのもメリットです。生産性が高まり、業績アップにもつながります。
また、スキルの獲得は社員にとって働くモチベーションとなり、仕事に対しても意欲的に取り組めるようになるでしょう。
厚生労働省が参考資料を公表
厚生労働省は、公式サイトで人材育成計画の参考になる資料を公表しています。経理・人事など事務系の9職種と、製造業など56の業種につき、職業能力評価基準として能力レベルが1~4まで区分されているものです。レベルごとのスキルや対象者のイメージがわかり、キャリア形成の道筋も図表で紹介されています。
また、「評価シート」と「サブツール」の2つで構成された職業能力評価シートも用意され、社員の能力レベルを把握するのに便利です。シートの活用方法を解説するマニュアルもついているため、幅広い業種で活用できます。初めて計画を立てるときは、利用してみるのもよいでしょう。
人材育成計画を立てるときのポイント
人材育成計画は、経営戦略に沿って作成しなければなりません。経営戦略の遂行にはどのような人材が必要かを明らかにすることで、効率的な人材育成が図れます。また、人材育成で求める人物像もできるだけ明確にすることが大切です。ここでは、人材育成計画を立てるときに注意しておきたい2つのポイントについて詳しく紹介します。
経営戦略を立てる
人材育成計画は会社の目標を達成するために必要な人材を育てることです。その内容は、長期的な視点である経営理念やビジョンを反映したものでなければなりません。そのうえで、中期的な視点である経営戦略を立てる必要があります。
経営戦略は社会のニーズに合わせて5年〜10年の期間を目安に作成され、人材採用の目安にもなるものです。人材育成計画は、この経営戦略の達成に向けて作成されなければなりません。
求める人材像を明確にする
人材育成計画では求める人物像も明らかにする必要があります。目標とする人物像が曖昧で具体的なイメージができなければ、思うような育成はできないでしょう。
例えば、業績20%アップを目指す経営戦略がある場合、求める人物像が「営業成績が高い人材」というだけでは抽象的です。「得意先との交渉は契約締結まで一人で行える」など、スキルの内容を具体的に示すことが求められます。
人材育成計画を立てる6つの手順
ここからは、具体的に人材育成計画を立てる手順について紹介します。まず、人材育成計画を遂行するうえでモチベーションを保つためにも、目標を設定することが大切です。また、目標までに何が足りないか、何が必要かを現状分析しなければなりません。必要なスキルの確認も必要です。6つの手順について、詳しく見ていきましょう。
1.目標を設定する
まず、計画の目標を設定します。できるだけ具体的に、達成可能な目標を立てることがポイントです。数カ月~半年ごとに段階に分け、スキルの獲得を確認しながら進めるとモチベーションを保ちやすいでしょう。
目標設定には、SMARTの法則を活用する方法もあります。設定の際、SMARTの頭文字がつく次の5つの内容を吟味する手法です。
●Specific(明確に):誰が見てもわかるような、具体的で明確な目標を設定する
●Measurable(測定可能):目標の達成度合いが誰にでも判断できるよう数字で表せる目標を設定する
●Achievable(達成可能な):ハードルをあげず、夢や希望ではなく達成可能で現実的な目標を設定する
●Related(業務に関連した):設定した目標が、部署や会社の目標に関連するかどうかを確認する
●Time-bound(期限設定):目標を達成する期限を設定する
曖昧な内容で目標を設定しても、ゴールが見えず適切な対策を立てられません。SMARTの法則を活用して5つの要素を分析することで、人材育成に効果的な目標を設定できます。
2.現在の状況を把握する
設定した目標をもとに、社員の現状を把握しましょう。目標と現状を比較することで、不足していることや目標達成にどの程度の時間が必要なのかが明確になります。具体的にするべきことがよくわかるでしょう。
現状把握は、段階的に設定した目標ごとに判断するようにしてください。社員の現状と目標とがかけ離れている場合は、目標の再設定を検討する必要もあります。
3.必要とするスキルを確認する
目標設定と現状分析で行うべきことを明らかにしたら、具体的に必要なスキルをリストにします。目標達成のためにどのようなスキルを身につけるべきかを書き出していきましょう。
業務遂行に必要な資格を取得する、TOEICのスコアを伸ばすなど、必要と思われるものをリストアップしていきます。一人で決めるのではなく、複数人で検討していくと、より適した内容が導けるでしょう。
スキルを取得するときは、業務とのバランスを考えることも大切です。必要なスキルが複数にのぼる場合は優先順位をつけ、本当に必要なスキルを確実に取得できるように調整してください。
4.スキルを獲得する方法を決める
必要なスキルをリストアップしたら、実際にスキルを獲得する方法を決めていきます。方法は大きく分けて、「OFF-JT」「OJT」「eラーニング」「SD」の4つです。
「OFF-JT」は「Off the Job Training」の略で、集合研修とも呼ばれます。セミナールームなど、一つの場所に多人数が集まって研修を行う方法です。全員の足並みを揃えるため、スキルの習得に大きな差が出ることがありません。体系的に知識を学べるのがメリットです。ただし、「OFF-JT」はコストがかかるうえ、学んだ知識をすぐに業務へ反映できるわけではありません。
「OJT」は「On the Job Training」の略で、業務をしながらスキルを獲得する方法です。先輩社員が指導しながら行うのが一般的で、即戦力となるためのスキルが身につくというメリットがあります。ただし、指導する社員によって育成の水準が左右され、「OFF-JT」のような体系的な知識は身につきにくいのがデメリットです。
「eラーニング」はインターネットで学ぶコンテンツで、自分の都合がいい時間に学習できるメリットがあります。繰り返しの学習もでき、知識の習得に適した方法です。ただし、自主学習のため、目標を達成するにはしっかり自己管理をする必要があります。
「SD」は「Self Development」の略で、自己啓発のことです。自ら書籍などで学ぶ、研修を受けるといった方法で習得します。他の方法と異なり、会社には強制力がなりません。学ぶ機会の提供はできますが、どのような学習内容を選択するかは社員の意思に委ねられています。
5.期間を設定する
必要なスキルや手段を決めたら、具体的な期間を設定します。いつまでにどのスキルをどの程度まで獲得するかを明らかにしましょう。
期間の長さは取得するスキルによって異なります。基本的に、あまり長い期間ではモチベーションが得られないため、数週間単位などできる限り細かく設定するのがおすすめです。短い期間に設定することで適度な緊張感を保つこともでき、意欲的に学べるでしょう。
6.計画内容を確認する
人材育成計画を一通り作成したら、上層部の確認を受けます。目標の達成に適当な内容か、経営理念や経営戦略に沿っているかなどのチェックが重要です。
上層部も独自に同様のプロセスで人事育成計画を作成すれば、より良い計画を立てられる可能性もあります。
また、現場の声を聞くことも大切です。計画内容について確認してもらい、改善すべき点などの意見を集めます。各方面からの意見を参考にすることで、会社の成長につながる理想的な人材計画が作れるでしょう。
キャリア別・人材育成の方法
人材育成計画は、社員のキャリアに応じて内容が異なります。計画作成のプロセスは共通しますが、具体的なスキル獲得の手段はキャリアごとに適切なものを考えなければなりません。
初めて社会人になる新入社員と、ある程度キャリアを積んだ中堅社員とでは学ぶ内容が異なり、適した手段も違います。ここでは、新入社員、中堅社員、管理職の3つに分けて人材育成方法を紹介しましょう。
新入社員
新入社員は組織や仕事に慣れず、入社当初は業務に不安を抱えています。ミスマッチによる早期退職を防ぐためにも、人材育成は重要といえるでしょう。
通常、新卒を採用している会社では、各部署に配属する前に会社の概要やビジネスマナーなど座学の研修が行われます。新入社員がこれから業務を行ううえで必要なことですが、即戦力を期待するには実践に役立つ知識やスキルの習得も大切です。
ロールプレイなどのグループワークでコミュニケーション力を養いつつ、OJTも組み入れていくことが必要になるでしょう。OJTは、新入社員ごとの特性や潜在能力を確認でき、それに合わせた人材育成計画を立てることもできます。
ただし、個別に行うOJTは成長の速度に差が出やすく、遅れをとった社員のモチベーションを下げる可能性もあるため注意が必要です。
中堅社員
中堅社員に対しては、人材育成が手薄になっている会社も少なくありません。しかし、中堅社員は新人を指導しながら管理職を支えるという重要な位置にあり、業務の中枢を担う大切な存在です。より高いレベルの業務を行うために、人材育成が求められるでしょう。
また、ある程度スキルを身につけた中堅社員の場合、転職をする可能性もあります。離職を防ぐためには人材育成に力を入れ、将来を嘱望されている存在であることを認識してもらう必要もあるでしょう。
中堅社員は、業務に関する専門スキルは実務である程度身につけています。そのため、日常業務ではあまり身につけられないスキルの研修が必要になるでしょう。
中堅社員に求められるのは、より広く実務を進めるうえで必要なビジネススキルです。その育成に適した方法には、各種スキルアップ研修があげられます。
中堅社員のスキルアップ研修として有効なのは、「ロジカルシンキング」「プレゼンテーション」「リーダーシップ」です。ロジカルシンキングはビジネスのあらゆるシーンで活用できる思考法のことで、業務の課題を的確にとらえ、効率的で柔軟な思考が可能になります。中堅社員は上層部や取引先へのプレゼンテーションの機会も多いため、ノウハウを習得できる研修は役立つでしょう。また、管理職を目指す中堅社員には、リーダーシップ研修も必要です。
管理職
管理職には「業務管理」「労務管理」「人材育成」という3つの役割があります。高いリーダーシップとマネジメント力が必要になりますが、管理職に登用されたからといってこれらの能力がすべて備わっているとは限りません。特にマネジメントの経験がないまま管理職となる場合も多く、広範なマネジメント業務に対応しきれない管理職もいます。
このような管理職には、リーダーシップやマネジメントの研修が必要になるでしょう。また、経営陣の一翼を担う者として、経営戦略の手法を身につける研修も求められます。
人材育成計画による教育で心がけたいこと
人材育成計画は作成したら終わりではなく、計画に沿った運用の過程が重要です。目標に向けてスキルアップを図る社員に対し、上司の日常的なフォローやフィードバックは欠かせません。また、スキルアップは必ずしも計画通りに進むとは限らず、計画の見直しが求められる場合もあるでしょう。人材育成計画による教育で上層部が心がけたいことを紹介します。
日常的なフォローやフィードバック
人材育成計画の通りに社員が成長しているかどうかを確認するには、普段からコミュニケーションを円滑にしておくことが不可欠です。進捗を把握し、アドバイスやフォローを行うことで、計画がスムーズに進行します。
何か問題が起きたとき、思うように計画が進まないときでも、コミュニケーションがとれていれば早めに相談して対策を立てることができるでしょう。
また、目標達成に向けて定期的なフィードバックを行うことで、社員のモチベーションを維持できます。
臨機応変な計画内容の見直し
人材育成計画は、順調に進むとは限りません。現状のままでは目標達成に至らないと思われる場合は、臨機応変な見直しも必要です。
進捗状況が遅れている場合のみならず、計画よりも早く達成できそうな場合にも社員のレベルに合わせて内容を見直す必要があるでしょう。見直しとブラッシュアップを行うことで、より社員の特性に合った人材育成が可能になります。
効果的な人材育成計画で会社を成長させよう
会社を成長させるには、人材育成が欠かせません。社員に合った計画を作るために、目標設定や現状の把握など、手順を踏んだ作成が必要です。キャリアに合わせた手法の選択も必要になるでしょう。計画の成功は、社員と上層部の積極的なコミュニケーションやフィードバックも不可欠です。変化の激しい社会で生き残るために、人材育成計画で真に戦力となる人材を育てましょう。