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求人詐欺の実態や罰則を徹底解説!急増する理由や起こりやすい事例

人材業界では、求人詐欺が問題視されています。ただ、企業の中には求人詐欺を行うつもりはなくても、結果的に疑われる事例も多いです。そこで今回は、求人詐欺の実態や起こりやすい事例について紹介します。求人条件を記載する際に注意すべきことも解説しているため、ぜひ参考にしましょう。

求人詐欺とは?急増する理由

近年、人材業界において、求人詐欺が問題視されています。求人詐欺とは、求人内容と実際の勤務形態が異なることをいいます。求人詐欺はここ数年で起き始めたものではなく、従来から企業と応募者の間で存在しているトラブルのひとつです。

求人詐欺が増えてきている背景には、各業界の人材不足が大きく影響しています。まずは、求人詐欺の概要と急増する理由から確認していきましょう。

求人内容と勤務実態が異なること

求人詐欺とは、求人内容と実際の勤務形態が大きく異なることです。例えば、給与が大幅に異なる、実際の仕事内容が違うといったケースがあるでしょう。ハローワークでも求人詐欺に関する相談が労働局に相次いでおり、厚生労働省の調査によると2014年には12,000件もの報告件数が報告されています。

約3割以上の企業で実際に求人詐欺があったことが確認されています。求人詐欺には大きく分けて2つのケースがあります。

● 給与や就業時間、仕事内容など応募者が重要視する項目を曖昧に記載する場合

● 入社直前で従来と異なる労働条件を伝えて契約せざるを得ない状況に追い込む場合

求人詐欺が増加している理由

求人詐欺が増えている背景には、応募者を増やして採用に結びつけたいという企業側の意図があります。そもそも求人詐欺は今に始まった話ではなく、何年も前から求人内容と勤務形態の相違が問題視されていました。2008年のリーマンショック以降は人材業界全体が売り手市場になり、多くの企業が人材不足に陥っていることが要因に挙げられるでしょう。

人材不足になると応募者を募っても人が集まりません。人材確保が困難になることで、実態とは異なる曖昧な内容で求人を出して応募者を集めようとします。こうした動きは、人材詐欺が多発する要因といえるでしょう。また求人内容はあくまで労働条件を記したもので、細かい条件は契約時に決めていきます。

契約時に、応募者が求人内容と実際に勤務形態が異なることに気づいたとしても、契約を同意しなければならない状況に追い込まれるケースが少なくありません。厚生労働省が調査した求人詐欺の件数以上に、水面下で求人詐欺に悩む応募者が多くいると考えられます。

求人詐欺の実態と罰則について

厚生労働省の調査結果によると、求人詐欺が多発していることが分かります。特に被害に遭いやすいのは、若年層の10~20代です。企業によっては、求職者に誤解を与える求人内容を記載したことで、トラブルに発展する事例も多く報告されています。

それらを防止する意味でも2018年に改正された職業安定法により、求人内容の記載に関する細かい規則が設けられました。職業安定法の規則に反すれば罰則を受ける可能性もあります。ここからは、求人詐欺の実態と罰則について詳しく見ていきましょう。

求人詐欺の相談件数や相談内容

2018年の厚生労働省による求人詐欺の調査件数は、およそ9,000件以上あったことが報告されています。その中で、実際に求人詐欺があった企業は3,600件であることが分かりました。

また求人詐欺は必ずしも企業側の故意で発生するわけではありません。求人内容の記載方法が分からなかったり、面接時に正しく伝えられていなかったり、意図していなくても企業側が応募者に誤解を与えてしまうこともあるのです。

企業としては、求人内容の記載や面接時も十分に注意しなければいけません。求人詐欺に関する相談内容でもっとも多いのが待遇面です。次いで勤務時間、仕事内容などが挙げられます。またハローワークに限らず、大手求人サイトでも求人詐欺が多発しているのが現状です。

若年層が求人詐欺に遭いやすい

人材業界で多発する求人詐欺は、10~20代など若年層が被害に巻き込まれやすいことが分かっています。また労働人口が減少する中で、ほとんどの企業は若手人材の確保に難航することも多いです。

この結果、若年層の人材を確保するために興味を惹く求人内容を記載する企業が増えています。一方で、面接時に求人内容と実際の勤務形態が違っていても何も言えず、そのまま契約してしまう応募者も少なくありません。

求人詐欺に該当する企業には罰則がある

求人詐欺を防止するために、2018年に職業安定法が改正されました。職業安定法とは、一人ひとりの能力に応じた職業に就職できるようにするための法律です。求人詐欺をはじめとする求職者と企業間のトラブルを解決するために、職業安定法の法律が改正されたのです。

職業安定法が改正されたことで大きく変わったのは、労働条件の明示範囲です。給料や会社名など基本的な情報に加えて、労働時間や残業の有無、試用期間など細かい情報の明記が義務化されました。企業は求人内容を記載する際に、できる限り詳しい労働条件を書く必要があるでしょう。

職業安定法の改正規則に満たない企業に対しては罰則が与えられることになりました。具体的な罰則は、6ヶ月以上の懲役、もしくは現金30万円の罰金です。たとえ意図的に求人詐欺を行っていなくても求人内容に違反があれば罰則を受ける対象になることもあります。罰則の対象とならないように、企業は求人内容を正しく詳細に記載しなければいけません。

求人詐欺で起こりやすい4つの事例

ハローワークや大手求人サイトでは、求人詐欺の相談件数が多くなっています。求人詐欺でトラブルが起きやすい事例は、以下のとおりです。

・給与や残業代が求人内容と異なる

・求人採用より休日が少ない

・雇用形態が募集条件と違う

・募集条件と実際の仕事内容が違う

トラブルに発展しやすい事例を知ることで、正しい求人内容の記載方法がわかるでしょう。では、それぞれの事例をご紹介します。

1.給与や残業代が求人内容と異なる

求人内容と実際の勤務条件が異なると求人詐欺に該当する可能性が高いです。例えば求人内容で月給25万円と記載があったにもかかわらず、契約時に月給20万円と伝えたり、月給は残業代込みで17万円と通知したりすれば、求人詐欺にあたります。

ただし、先述したとおり、2018年の職業安定法の改正により求人内容には細かい情報を記載して求人募集をすることが企業に課せられました。求人内容に記載漏れがあった場合は、応募者とトラブルに発展するケースもあるため十分に注意する必要があります。

2.求人採用より休日が少ない

求人内容に記載されていた情報と異なり、勤務を始めたら休日が少なかったと応募者が感じれば、求人詐欺に該当する可能性があります。例えば週休2日制と記載があったにもかかわらず月1回は必ず休日出勤をしなければならないケースもあります。また、求人内容には土日祝は休みと記載があっても、月に何度も休日出勤を求められる場合もあるでしょう。

企業によって休日の日数は異なります。応募時に企業を選ぶ中で、休日の日数を事前に確認しておきたい応募者は多いでしょう。さらに、ワークライフバランスを重視した働き方を希望する人が増えていることから、働きはじめて求人日数に違いがあると企業と求職者間で問題に発展するケースも少なくありません。

3.雇用形態が募集条件と違う

求人条件と実際の雇用形態が違う場合、求人詐欺に該当する可能性が高いです。例えば正社員で応募したにもかかわらず実際はアルバイト採用だったというケースがあります。また、「正社員登用あり」の記載があって契約社員で入社したものの、実際には正社員登用制度がなかったという事例もあるでしょう。

このような事例が発生する原因には、募集条件の記載が曖昧だったことに加え、契約時にもきちんと詳細が伝えられていなかったことが考えられます。募集条件により細かく情報を記載した上で、契約時にも口頭で応募者の了承を得ることが大切です。

4.募集条件と実際の仕事内容が違う

募集条件と実際の仕事内容が異なることも求人詐欺につながる可能性があります。例えば、応募内容には事務職と記載されていたにもかかわらず、入社後に経理に配属される場合もあるでしょう。また事務職で採用されているものの実際には営業職を強要されるケースもあります。

応募者は、求人条件に記載がある職種で入社したいと思う傾向があるため、相違があると騙されたと感じる人も多いようです。意図的に異なる情報を記載していれば、職業安定法に違反します。場合によっては、罰則対象になることもあるため注意が必要です。

求人条件を記載する際の5つのポイント

ここからは、求人条件に記載すべき内容と注意したいポイントを解説します。記載すべき主な項目は、以下のとおりです。

・雇用形態や雇用期間

・業務内容

・勤務地

・賃金形態

・休暇

これらの項目は、求人条件の作成時に企業は必ず記載しなければいけません。ここでご紹介するポイントを踏まえて求職者が理解しやすい求人内容にまとめましょう。

1.雇用形態や雇用期間

雇用形態には、正社員や契約社員、パートタイマー労働などさまざまな種類があります。雇用形態に正社員と記載する場合は、無期雇用であると解釈されるのが一般的です。一方、有期雇用の場合は契約社員と記載するのが適していて、雇用期間は明確に記載することが望ましいでしょう。

もし試用期間を設けるなら期間の長さも記載します。試用期間は企業が人材を採用するにあたり、社員として適性があるのかどうか評価する期間のことです。使用期間の長さに明確な決まりはありませんが、多くの企業は1~6ヶ月程度に設定します。

また、近年は派遣労働者の雇用を望む企業も増えています。この場合は、雇用形態に派遣労働者と記載しましょう。求職者は、雇用形態が応募するかどうかの判断基準になっている場合も多いです。雇用形態や雇用期間を曖昧に記載すると、後々トラブルに発展することもあります。求職者に誤解を与えないように丁寧に記載しましょう。

2.業務内容

採用後、求職者が行う業務について具体的に記載します。業務内容の記載方法によっては、求職者に分かりづらいと思われる可能性があるので注意しましょう。どのような仕事なのかイメージしやすいように記載するのが好ましいです。

ただ、企業によっては採用後に担当業務や職種などを変更したい場合もあるでしょう。このような事態が想定されるときは、求人条件に業務や職種が変わる可能性があることを記載しておくことが大切です。

また入社後に教育制度を設けているのであれば、業務内容にその点も記載しておくといいでしょう。

3.勤務地

勤務地もきちんと記載する必要があります。求職者は、雇用形態や業務内容に加え、就業場所も重視しています。遠方から応募する求職者もいるため、勤務地の住所も合わせて記載しておきましょう。

また就業場所の候補がいくつかある場合、複数の勤務地を記載しておくことがおすすめです。なお、入社後に勤務地の変更や転勤の可能性があれば、その旨も明確に記載しましょう。

4.賃金形態

月給や日給、時給などの賃金形態、基本給、通勤手当、昇給に関する事項を記載しましょう。ほとんどの企業で賃金や基本給を記載する際、幅を持たせるのが一般的です。

例えば、年収400万~600万円といったように下限額と上限額を記載し、応募者の経験値に合わせて金額が変わる旨を記載しましょう。

ただし、記載した下限額が契約時に下回ることがないように注意が必要です。さらに、上限額は、しっかりと支払える範囲の額を記載しなければいけません。なお、記載した給与に残業代が含まれる場合は、その旨を明記するのが好ましいです。本採用までに試用期間を設ける場合は、試用期間中の給与も記載しましょう。

5.休暇

労働基準法では、休暇について「少なくとも毎週1日の休日、あるいは4週間を通じて4日以上の休日を与えなければならない」との記載があります。この規定を踏まえて休暇日数を決めましょう。

なお求人情報によって週休2日制としていることや、完全週休2日制と表記していることがあります。企業によって表現はさまざまですが、どのように記載するかによって求職者が受ける印象も大きく変わります。

長期休暇があるなら、期間はどのくらいなのか具体的に記載しましょう。また近年は共働き夫婦も増えているため、育児休暇や介護休暇、産前産後休暇の取得実績を記載することもおすすめです。

求人詐欺とならないための4つの対処法

企業の中には、求人詐欺を意図的に行っていないにもかかわらず、応募者に誤解を与えてしまうことがあります。たとえ意図的でなくても応募者に誤解を与えてしまうと、場合によっては、罰則の対象となることもあります。求人詐欺とならないための対処法は、以下のとおりです。

・正確な雇用条件を記載する

・断定的な表現を避ける

・応募者目線の求人内容に書き直す

・求人内容に変更があった場合はすぐに変更する

上記のポイントを意識することで、求人詐欺のトラブルを回避できます。求人内容を記載するときは、対処法を押さえて記載しましょう。

1.正確な雇用条件を記載する

求人詐欺を回避するには、当然のことながら嘘の情報を記載してはいけません。求職者に誤解を与えないように正確に雇用条件を記載する必要があります。人材市場は売り手が有利となっており、思うように応募者が集まらないことも多いです。

他社との差別化を図り応募者を集めるためには、魅力的な求人内容を記載しなければいけません。その結果、実際には支払えないような高額な給与や、実務とは異なる業務内容を記載する企業もいます。応募者を集めたいとの思いから嘘の情報を載せれば、罰則の対象になる可能性もあるので気を付けましょう。

嘘の情報を記載することで、会社の信頼を失う可能性もあります。今後の求人活動に多大な悪影響を及ぼすこともあるでしょう。正確な情報を記載しても応募者が集まらない場合は、会社のビジネスモデルや財務状況を見直す必要があるでしょう。

2.断定的な表現を避ける

求人内容に記載する情報は正確なものでなければいけません。ただ項目によっては、応募者の実力を判断したり、直接話をしたりしないと詳細を決められないこともあります。このような場合は、断定的な表現を避けて幅を持たせて記載しましょう。

給与は、能力や経験によって異なります。賞与についても、会社の業績によって金額は左右されるものです。断定的な情報を求人内容に記載してしまうと、応募者に誤解を与えてしまう可能性もあるでしょう。

例えば、給与は25万~35万円(能力や経験を考慮して金額を決定)、賞与については賞与あり(ただし金額は会社の業績による)など、誤解を与えないように補足を記載しておくことが不可欠です。

3.応募者目線の求人内容に書き直す

求人内容は、企業側の目線で書かれていることが少なくありません。応募者がなかなか集まらないときは、応募者目線の求人内容に見直してみることをおすすめします。まず求職者が知りたい労働条件がきちんと記載されているかどうかをチェックしましょう。

人材市場は売り手市場で、企業は応募者から選ばれる立場です。求職者は1日に多くの求人内容を確認しており、自分の条件に合う仕事を探しています。求人情報が不十分だと会社の魅力は伝わらず、求職者の目に留まらないことも多いです。求職者はどのようなことに注目しているのかを考え、応募者目線の内容を記載することが求められます。

また応募者を集めたいなら、競合他社の存在も忘れてはいけません。給与や勤務時間など競合他社の求人条件を確認してみましょう。競合他社と比較して劣っている項目があれば、社内で検討し直す必要があります。

4.求人内容に変更があった場合はすぐに変更する

求人募集を出す際、途中で条件が変わることもあるでしょう。求人内容に変更があったにもかかわらず、情報を更新せずに放置し続けると後々応募者との間でトラブルが発生する可能性があります。変更があったらすぐに求人内容を修正して求職者に正しい情報を伝えられるようにしましょう。

面接後に求人内容の誤りが発覚した場合も、速やかに掲示を行う必要があります。求人内容の誤りを応募者に伝えないままにすると、誤った条件で採用しなければなりません。場合によっては企業側に不利益が生じることもあるため注意が必要です。

求人詐欺に間違われない求人内容を記載しよう!

人材業界では売り手市場が続いており、思うように応募者が集まらない状況に陥る企業も少なくありません。こういった状況を改善するために、実際とは異なる求人内容を作成して少しでも多くの応募者を集めようとする企業もいます。

ただ求人内容の記載方法を間違えると意図的に求人詐欺をしていないにもかかわらず、求職者に誤解を与えてしまうこともあるでしょう。たとえ意図的でなくても職業安定法に違反があれば、罰則の対象になってしまいます。求人詐欺に間違われないように記載しましょう。