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職場環境改善を効果的に行うポイントと注意点を解説│成功事例も紹介

職場環境改善とは、社員がより働きやすい職場へと社内環境を向上していくことです。対象となる範囲はオフィスなどの環境から勤怠状況、人間関係まで多岐にわたっています。本記事では、職場環境改善の進め方や注意点などを具体的な企業の成功事例もまじえて解説します。

職場環境改善とは?

職場環境改善とは、社員がより働きやすい環境へと向上させていくことです。職場環境はオフィスの照明や温度、静かさ、清潔さなどの環境から、社員の労働条件、社内での人間関係まで、多岐にわたっています。

重要なのはいかにして社員が働きやすい環境を作るかということです。まず職場環境を改善する上での4つの指針、改善の範囲、種類などについて解説します。

快適職場の4つの指針

1992年5月に改正された労働安全衛生法によって、快適な職場づくりが事業者の努力義務となりました。その中で厚生労働省が示したのが4つの指針です。1つずつ順に説明しましょう。

1つ目の指針は「作業環境の管理」です。タバコの煙や匂いや粉塵などの空気の汚れがない、適切な温度と湿度が保たれている、騒音レベルが低いなど、社員が不快と感じることのない作業環境を提供することが求められます。

2つ目の指針は「作業方法の改善」です。社員が心身の過度な負担を強いられるような作業を行っている場合には、すみやかに改善することが求められます。長時間、窮屈な姿勢でいなければならない作業や緊張を強いられ続ける作業なども改善対象です。

3つ目の指針は「労働者の心身の疲労回復を図るための施設・設備の設置・整備」です。疲労を回復するための施設やシャワー室、運動施設などの設置と整備が求められます。

4つ目の指針は「その他の施設・設備の維持管理」です。トイレや洗面所を清潔に維持すること、食堂や談話室の設置が求められます。

職場環境改善の範囲

職場環境改善の範囲は、以下の5つの要素によっても説明することができます。

  • 物理化学的環境
  • 人間工学的側面
  • 人間関係
  • 仕事の負荷
  • 仕事の自由度や裁量権

それぞれについて解説しましょう。

物理化学的環境とは、オフィスの温度や湿度の快適な設定、照明の一定以上の明るさの維持、騒音の低レベルの維持、受動喫煙の阻止、有害環境の源からの隔離などです。

人間工学的側面とは、社員が仕事をしやすいスペースの確保、作業姿勢の負担を減らす配慮などで、パソコンや作業機器を使いやすいように整備することも含まれます。

人間関係とは、社員に精神的な圧迫感やストレスを与えない職場作りのことです。人間関係の悩みは社員に聞いてみないとわからないこともあるので、相談しやすい環境を作ること、情報を共有することも必要になります。

仕事の負荷とは、社員に対して、無理のない範囲での仕事を配分するように配慮することです。社員の経験や能力によって、適正な仕事の量と質は異なります。また単調な仕事ばかりを強いると、モチベーション低下の原因となるので、配慮が求められるでしょう。

従業員の経験や能力を考慮した人事配置により、仕事の負荷がかかり過ぎないように調整する必要があります。無理のある内容や量の作業を担わせることは、従業員にとってストレスになります。

一方で、単調な作業ばかりを行うことも、従業員のモチベーションを低下させる要因となります。人事評価制度の整備を行い、適材適所の配置ができるようにすることも、職場環境と関係があります。

仕事の自由度や裁量権とは、社員の意見を取り入れることです。作業の手順や方法について、現場からの意見を聞ける環境を作ることが求められます。

計画立案を主導する人によって3つに分かれる

職場環境改善は誰が主導するのかによって、3つのタイプに分かれます。「経営層主導型」「管理監督者主導型」「従業員参加型」です。

経営層主導型は経営陣が主導して社内の職場環境改善を推進します。決定権をもっているので、労働時間の削減や社員の配置転換などを行う場合に有効です。

管理監督者主導は、各部署の管理監督者が職場環境改善の対策を行います。改善しなければならない課題が部署によって異なる場合に有効です。

従業員参加型は各部署の社員が職場環境の改善に主体的に参加するやり方です。職場内で固有の問題点がある場合に有効といえるでしょう。また社員同士のコミュニケーションを円滑にするという効果も期待できます。

職場環境改善の第一歩は改善点の明確化

職場環境改善の第一歩は、改善すべき点とは何なのかを明確化することです。問題点があいまいなままだと、適切な対策を講じることができません。改善すべき点を明らかにするために必要となるのは以下の3つの項目です。

  • 社員の声をしっかり聞く
  • ストレスチェック制度を利用する
  • 現状を的確に分析する

それぞれ詳しく解説しましょう。

社員の声をしっかり聞く

職場環境改善のためには、社員の声を聞くことが必要になります。職場の環境は職場にいる人間がよく知っているからです。社員の声を客観的に聞くためにはアンケートが有効でしょう。

本音を聞くためには無記名のアンケートが効果的です。Webアンケートを活用するやり方もあります。アンケートの内容は労働時間や休憩時間から人間関係まで、幅広い項目を用意するのが良いでしょう。

ストレスチェック制度を利用する

職場環境を改善する上ではストレスチェック制度を利用する方法もあります。ストレスチェック制度とは、労働安全衛生法の改正によって、50人以上の社員がいる会社で義務化されているストレス検査制度です。

社員に質問票を配布して、その回答によってストレスの状況を評価・集団分析し、職場改善に活用します。またその結果を本人に通知し、必要な場合は医師による面談を実施。メンタルヘルスの不調の防止に役立てます。

現状を的確に分析する

社員へのアンケートやストレスチェックの結果に基づいて、職場の現状を的確に分析することが求められます。職場環境の整備具合を客観的に判断するためには、他の職場と比較して参考にしてみるのも良いでしょう。

人間関係に関する問題はデリケートであり、わかりづらいところもあります。場合によっては面談なども行い、正確な情報に基づいて分析し、改善に役立てるようにしましょう。

職場環境改善を進める3つのポイント

職場環境改善を進める上では適切な対策を取ることが必要になります。改善しているつもりでもまったく効果が上がらないというケースも考えられるからです。ポイントとなるのは、以下の3つの項目です。

  1. ニーズと改善策がマッチしているかの確認
  2. 現場のアイディアの積極的な採用
  3. ツールの導入

それぞれ詳しく解説しましょう。

1.ニーズと改善策がマッチしているかの確認

「ここを改善してほしい」というニーズと、実際の改善策がマッチしているかどうかを確認することが重要です。例えば、コミュニケーション不足という課題があった場合に、食事会や飲み会を開催するのが効果的とは限りません。

食事会や飲み会が苦手な社員もいるからです。モチベーションを向上しようとしたのに、逆に低下してしまうケースも出てくるでしょう。課題に対応した適切な改善策を考えることが重要です。

2.現場のアイディアの積極的な採用

職場環境を改善する上では、現場のアイディアを積極的に採用することが求められます。実際に現場で働いているからこそ見えてくる課題があり、そしてその課題を改善するためのアイディアが生まれることが少なくないからです。

「女性専用の休憩室を作って欲しい」「コーヒーメーカーを設置して欲しい」など、現場の声を聞くことによって、効果的な改善策が判明することもあるでしょう。

3.ツールの導入

職場環境改善のための有効な手段の1つにツールの導入があります。コミュニケーション不足を解決するためには、チャットツールや掲示版機能を備えたツールなど、コミュニケーションツールの導入が効果的でしょう。

仕事の配分の適正さを維持するためには、タスクツールやスケジュールツールを有効に活用することによって、課題の解消が期待できます。

職場環境改善を行う上での2つの注意点

職場環境改善を行う上では、注意しなければならないことがいくつかあります。ある要素を改善したことによって、結果的に別の要素を改悪してしまったということになりかねません。職場環境を改善する際の注意すべきポイントは主に次の2つです。

  1. 社員全員のプラスになるか?
  2. 課題と改善策がマッチしているか?

それぞれ詳しく解説しましょう。

1.社員全員のプラスになるか?

職場環境改善を行う場合には、社員全体のプラスになるかどうかを常に考える必要があります。一部分に注目することも必要ですが、同時に全体にも配慮しなければなりません。

例えば、休暇制度を充実させた場合に、休暇を取った社員の穴埋めで、他の社員の仕事がハードになってしまったならば、職場環境を改善したことにはならないでしょう。改善する上では業務の平準化や公正さも重要な要素となります。

2.課題と改善策がマッチしているか?

職場環境改善の課題と改善策がマッチしていることが重要です。例えば、社員の残業時間が多すぎる課題があるとします。20時以降は強制的に退社という決まりを作ることで残業時間が減ったとしても、根本的な解決にならないケースも少なくありません。

残業時間が減っても、やるべき仕事の量が減っていなければ家に持ち帰ってサービス残業せざるをえない場合も出てきます。本来すべき改善策は仕事の量の配分を変える、効率化を図る、人員を増やすといったことでしょう。

職場環境改善を成功させた企業の事例3つ

職場環境は多岐にわたっているので、さまざまな改善方法があります。自社内だけで改善策を探るのでなく、他社の事例を参考にしてみるといいでしょう。柔軟な発想や斬新なアイディアで職場環境を改善した企業がたくさんあります。例えば、次の3つの事例です。

  1. オープンスペースで社員交流を促進するコニカミノルタ
  2. リフレッシュタイム3時間を実現したヒューゴ
  3. 制服色分けて定時退社を促進する熊本地域医療センター

それぞれ詳しく紹介します。

1.オープンスペースで社員交流を促進するコニカミノルタ

コニカミノルタでは、本社の浜松町移転とともに画期的な職場環境を作りました。250名の社員を1つの部屋に収容できる、オープンなレイアウトが大きな特徴です。社員の仕事のスタイルに合わせて、座席の場所やスタイルを選択できるフリーアドレス制を採用。

窓側には打ち合わせが快適に行えるボックス型のファミレス席を設置しています。この他にもカフェスペース、ソロワークスペース、遠隔会議のシステムを完備した会議室なども配置。効率性と快適性を両立した職場環境を実現しています。

2.リフレッシュタイム3時間を実現したヒューゴ

WEBサイトの制作やインターネットコンサルティングなどを手がけているヒューゴでは、「シエスタ制度」と呼ばれる長い休憩時間を導入しています。時間は水曜以外の平日13時から16時までの3時間。

昼寝やトレーニングや映画鑑賞など、社員それぞれが自由に時間を使えるのが特徴です。リフレッシュ効果によって、生産性と売上の向上につながっています。

3.制服色分けて定時退社を促進する熊本地域医療センター

「看護業務の効率化先進事例アワード2019」の最優秀賞を受賞した熊本地域医療センターでは、アメリカンフットボールをヒントに制服の2色化を導入し、残業の削減を実現しています。日勤はバーガンディ(赤系)、夜勤はピーコックグリーン(緑系)です。

一目で勤務時間帯が分かるよう制服を色分けすることで、退社時間が近い看護師に新たな業務の声かけをすることがなくなり、定時退社を促す効果がありました。導入後に一人あたり約110時間だった残業時間が約半分に減っています。

職場環境改善を進めて、働きやすい職場を作ろう

職場環境改善とは、社員がより働きやすい環境を作っていくことです。職場環境は温度や湿度、照明、騒音などから、心身に負担がかかりすぎない作業方法、人間関係まで多岐にわたっています。

職場環境を改善することは、社員のモチベーションの向上や生産性のアップにもつながることが期待できるでしょう。現場の声に耳を傾けて、社員すべてが気持ちよく働ける環境を作ることが企業に求められています。